居宅vs施設ケアマネ 処遇改善の違いを令和8年度版で比較

🌿 令和8年度(2026年)最新版
居宅ケアマネと施設ケアマネの
処遇改善の違いとは?
令和8年度の変化を比較解説
主任ケアマネ×社会福祉士の筆者が、2つの違いを図解・比較表でわかりやすく解説します
「居宅と施設では、処遇改善の扱いが違うって本当ですか?」——答えはYESです。歴史的な経緯も、加算の仕組みも、受け取れる金額も、これまで異なってきました。そして令和8年度(2026年)の介護報酬改定で、居宅ケアマネの処遇改善がついに本格的にスタートしました。
📌 この記事はこんな方に向けて書きました
✓
居宅介護支援事業所で働くケアマネジャー✓
施設(特養・老健・グループホームなど)で働くケアマネジャー✓
転職を考えていて居宅・施設どちらが処遇改善を受けやすいか知りたい方✓
令和8年度の最新情報をもとに制度の違いを整理したい方目次
🎯まず知っておきたい|令和8年度(2026年)の3つの大変化
令和8年度 処遇改善加算の3大変更点
アップデート ①
月額1.0万円(3.3%)ベースアップ
対象が「介護職員」から「全介護従事者」へ拡大
アップデート ②
さらに月額0.7万円(2.4%)上乗せ
生産性向上・協働化に取り組む事業所に追加加算
アップデート ③
居宅介護支援が正式対象に追加
訪問看護・訪問リハビリ・居宅介護支援等が新たに対象に
📊一目でわかる比較表|居宅ケアマネ vs 施設ケアマネ
| 比較項目 | 🏠 居宅ケアマネ | 🏥 施設ケアマネ |
|---|---|---|
| 令和8年度以前の対象 | ❌ 対象外 | ✅ 対象(施設職員と同様) |
| 令和8年度以降の対象 | ✅ 正式に対象追加 | ✅ 引き続き対象 |
| 加算の根拠 | 居宅介護支援の処遇改善加算 | 施設系サービスの処遇改善加算 |
| 加算率の水準 | 施設系と比較してやや低め | 施設種別による(高めの傾向) |
| 受給の歴史 | 令和8年度からスタート | 2012年〜段階的に積み上げてきた |
| 最大の注意点 | 事業所の取得状況にばらつき | 施設全体の分配方針に左右される |
💡 どちらも事業所が加算を取得し、適切に分配することが大前提です。「制度がある=自動的に受けられる」ではありません。
🏠居宅ケアマネの処遇改善|令和8年度からの新しい章
令和8年度以前
居宅ケアマネの状況
✗
処遇改善加算の「対象外サービス」として長年扱われてきた✗
同じ介護保険制度の中で働きながら処遇改善を受けられなかった✗
訪問介護員と同じ利用者宅に行っても処遇改善の対象外だった令和8年度以降
居宅ケアマネの変化
✓
処遇改善加算の正式対象に追加された✓
給与に処遇改善手当等が反映されるようになった✓
月額最大1.9万円(特例要件クリア時)の賃上げが可能に居宅ケアマネが特に注意すべき3つのポイント
ポイント
①
①
加算取得は事業所の判断による
制度ができたからといって、すべての居宅介護支援事業所が加算を取得するわけではありません。特に小規模な単独事業所では事務負担を理由に取得を見送る場合もあります。「うちの事業所は加算を取得しているか?」をまず確認しましょう。
ポイント
②
②
令和8年度スタートなので「積み上げ」がまだ浅い
施設ケアマネが2012年からの積み上げがあるのに対し、居宅ケアマネは令和8年度(2026年)からの正式スタートです。加算率や分配額が施設系より低くなりやすい構造は当面続く可能性があります。ただし今後の改定で段階的な引き上げも期待されています。
ポイント
③
③
「ロ」区分を目指せる環境かを確認する
最大の加算を受けるには「ロ」区分の取得が必要です。生産性向上等の特例要件に取り組める体制の事業所かどうかが、将来の処遇改善の水準を左右します。
🏥施設ケアマネの処遇改善|2012年からの積み上げ
施設系サービス(特別養護老人ホーム・介護老人保健施設・グループホームなど)は、2012年の処遇改善加算導入当初から対象に含まれていました。施設ケアマネジャーは「施設の介護職員と同じ職場で働く職員」として扱われるため、施設が取得する処遇改善加算の分配を受けることができました。
施設ケアマネが注意すべき3つのポイント
ポイント
①
①
施設全体の分配方針に左右される
施設の処遇改善加算は施設全体の職員に分配されます。ケアマネジャーへの分配額は施設の方針・ルールによって決まるため、「介護職員と同額もらえる」とは限らない場合があります。
ポイント
②
②
施設の加算取得区分を確認する
施設によって取得している加算の区分(Ⅰロ〜Ⅳ)が異なります。最上位の「Ⅰロ」を取得している施設で働くことが、最大の処遇改善を受けるうえで重要です。
ポイント
③
③
管理者兼務の場合は分配に制限がある場合も
ケアマネジャーが施設の管理者を兼務している場合、処遇改善加算の分配対象から外れるケースがあります。就業規則・雇用条件をあらかじめ確認しておくことをおすすめします。
🔀令和8年度の加算区分の変化|「ロ」と「イ」が枝分かれ
令和8年度6月以降の加算区分の変化
4月・5月
従来型 加算Ⅰ〜Ⅳ(従来通り)
↓ 6月以降に変化
6月以降
加算Ⅰロ / Ⅱロ
特例要件クリア事業所のみ
加算Ⅰイ / Ⅱイ
基本区分(従来要件)
加算Ⅲ・Ⅳ
標準区分(従来要件)
| 区分 | 概要 | 取得条件 |
|---|---|---|
| 加算Ⅰロ / Ⅱロ(最上位) | 最大の加算が受けられる | 令和8年度特例要件(生産性向上等)を満たした事業所のみ |
| 加算Ⅰイ / Ⅱイ(基本) | 標準的な加算 | 従来要件を満たした事業所 |
| 加算Ⅲ・Ⅳ(標準) | 最低限の加算 | 基本要件を満たした事業所 |
📋主要サービス別加算率一覧(6月以降)
主要サービス別の処遇改善加算率(令和8年度6月以降)
| サービス名 | Ⅰロ | Ⅰイ | Ⅱロ | Ⅱイ |
|---|---|---|---|---|
| 訪問介護 | 28.7% | 27.0% | 26.6% | 24.9% |
| 通所介護 | 12.0% | 11.1% | 11.8% | 10.9% |
| 介護老人福祉施設 | 17.6% | 16.3% | 17.2% | 15.9% |
| 認知症対応型共同生活介護 | 22.8% | 21.0% | 22.0% | 20.2% |
💡 特に施設系(介護老人福祉施設・認知症グループホーム等)の加算率は訪問・通所より高い傾向があります。居宅介護支援(ケアマネ)の加算率は厚生労働省の公示資料でご確認ください。
📊新・算定要件マスターマトリクス
加算区分別・算定要件一覧(居宅・施設どちらにも共通)
| 要件項目 | Ⅰロ | Ⅰイ | Ⅱロ | Ⅱイ | Ⅲ | Ⅳ |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 月額賃金改善 | ✅ | ✅ | ✅ | ✅ | ✅ | ✅ |
| キャリアパスⅠ(任用・賃金体系) | ✅ | ✅ | ✅ | ✅ | ✅ | ✅ |
| キャリアパスⅡ(研修の実施) | ✅ | ✅ | ✅ | ✅ | ✅ | ✅ |
| キャリアパスⅢ(昇給の仕組み) | ✅ | ✅ | ✅ | ✅ | ✅ | — |
| キャリアパスⅣ(年額440万円以上) | ✅ | ✅ | ✅ | ✅ | — | — |
| キャリアパスⅤ(介護福祉士等配置) | ✅ | ✅ | — | — | — | — |
| 職場環境等 | ✅ | ✅ | ✅ | ✅ | ✅ | ✅ |
| 【新設】令和8年度特例要件 | ✅ 必須 | — | ✅ 必須 | — | — | — |
💡 転職先を選ぶ際は、事業所の取得区分を必ず確認しましょう。上位区分を取得している事業所ほど、職員への還元が大きくなります。
🎓キャリアパス要件(Ⅰ〜Ⅳ)とは何か
キャリアパス要件Ⅰ〜Ⅳの詳細説明
Ⅰ
規程:任用・賃金体系の明文化
職位・職責に応じた任用要件と賃金体系を明文化すること。
Ⅱ
研修:計画的な人材育成
計画的な研修実施と資格取得支援を行うこと。
Ⅲ
昇給:評価に基づく定期昇給
経験・資格・人事評価等に基づく定期昇給の仕組みを設けること。
Ⅳ
賃金:年額440万円以上
経験・技能のある職員1名以上が「年額440万円以上」の給与を受けていること。(小規模事業所等には例外あり)
🛡️ 重要!特例措置があります
「令和8年度特例要件」を満たす事業所は、申請時に「令和9年3月末までに整備を行うという誓約」をすることで、要件をクリアしたものとして取り扱われます。
今すぐ整備が間に合わなくても、申請を諦める必要はありません!
今すぐ整備が間に合わなくても、申請を諦める必要はありません!
🌱職場環境等要件と「見える化」
職場環境等要件と「見える化」の対応
上位区分(Ⅰ・Ⅱ)の取得に必要な取り組み
「入職促進」「資質向上」「両立支援」「健康管理」「やりがい」の5区分で各カテゴリ2つ以上の取り組みを実施
「生産性向上のための取組」を3つ以上実施(うち、体制構築または課題の見え化が必須)
「見える化」が絶対条件:実施した取り組み内容を「介護サービスの情報公表制度」または自社HP等で公表することが義務付けられています
💰資金のフローと配分の原則|絶対に知っておきたいルール
処遇改善加算の資金フローと配分のルール(居宅・施設共通)
居宅・施設どちらでも変わらない「絶対ルール」
加算額 ≤ 賃金改善額:処遇改善加算として受け取った金額は、必ず同額以上を職員の賃金改善に使わなければなりません
事業所内での柔軟な配分が可能。ただし「経験・技能のある介護職員(勤続10年以上等)」を重視すること
極端な偏り(一部の職員のみへの集中)は禁止
⚠️ 事業所が適切に加算を取得・分配しているかの確認がとても重要です。「制度があるから大丈夫」ではなく、具体的な取得区分・分配額を必ず確認しましょう。
⚖️居宅・施設どちらが処遇改善を受けやすいか?
| 比較ポイント | 🏠 居宅ケアマネ | 🏥 施設ケアマネ |
|---|---|---|
| 処遇改善の歴史 | 令和8年度〜スタート | 2012年〜積み上げあり |
| 制度の安定性 | これから積み上げる段階 | 比較的安定している |
| 加算率の水準 | やや低め(新規のため) | 施設種別により高め |
| 今後の改善余地 | ◎(大きく期待できる) | ○(安定して継続) |
| 注意点 | 事業所の取得状況を確認 | 施設の分配方針を確認 |
短期的な安定性という点では、現状は施設ケアマネのほうが積み上げがある分、安定している傾向があります。しかし居宅ケアマネの処遇改善は今後の改定で段階的な改善が期待できるため、長期的には格差が縮まっていく可能性が十分あります。
✅転職するときに確認すべき5つのポイント
転職先を選ぶときの処遇改善チェックリスト
1
処遇改善加算(Ⅰロ〜Ⅳ)のうち、どの区分を取得しているか?2
最上位区分(Ⅰロ)を目指している事業所か?3
ケアマネジャーへの分配があるか?4
分配額・分配方法は就業規則または雇用契約書に明記されているか?5
次年度以降も継続して加算を取得する方針があるか?⚠️ 事業所が処遇改善加算を算定しない方向であれば…
「うちは取得しない」「ケアマネへの分配はない」と言われた場合、処遇改善を受けられる事業所への転職を真剣に検討する価値があります。
加算を適切に取得・分配している事業所では、月数万円単位の収入改善につながる事例もあります。
加算を適切に取得・分配している事業所では、月数万円単位の収入改善につながる事例もあります。
処遇改善加算を取得している事業所への転職で給与アップを実現しましょう
📌まとめ
| ポイント | 🏠 居宅ケアマネ | 🏥 施設ケアマネ |
|---|---|---|
| 歴史 | 令和8年度〜スタート | 2012年〜積み上げあり |
| 令和8年度の変化 | ✅ 正式対象として追加(大きな前進) | ✅ 引き続き対象・上位区分も取得可能 |
| 最大賃上げ額 | 月額最大1.9万円(特例要件クリア時) | 施設種別・区分による |
| 安定性 | これから積み上げる段階 | 比較的安定 |
| 今後の期待値 | ◎(改善余地大) | ○(安定継続) |
| 注意点 | 事業所の取得状況を必ず確認 | 施設の分配方針を必ず確認 |
どちらの立場でも最も大切なのは「確認すること」
✓
居宅ケアマネは令和8年度から正式対象に追加。大きな前進です✓
施設ケアマネは2012年からの積み上げで安定しているが、分配方針の確認が必要✓
どちらも「事業所が加算を取得しているか」「ケアマネに分配されるか」の確認が最優先✓
転職先を選ぶときは5つのチェックリストを活用しよう✓
加算を取得・分配しない事業所であれば、転職も有効な選択肢制度を正しく理解して、自分のキャリアと処遇をしっかり守っていきましょう🌸
❓よくある質問(Q&A)
Q
居宅と施設、転職するならどちらが給与が高いですか?処遇改善だけでなく、基本給・各種手当・ボーナス等のトータルで比較することが重要です。処遇改善加算の取得状況は求人票や面接で確認できます。転職サービスを活用して複数の事業所を比較することをおすすめします。
Q
居宅と訪問介護が併設されている場合はどうなりますか?併設事業所の場合、他サービスの加算と合わせて運営されているため、居宅部分のケアマネへの分配状況が複雑になる場合があります。事業所の管理者に「居宅ケアマネへの分配額・分配方法」を直接確認することをおすすめします。
Q
施設ケアマネでも処遇改善を受けられていない場合がありますか?あります。施設が処遇改善加算を取得していない場合、または管理者兼務のケアマネへの分配が制限されているケースがあります。給与明細・就業規則を確認してみましょう。
Q
「ロ」区分を取得していない事業所に転職した場合の処遇改善はどうなりますか?「イ」区分や「Ⅲ・Ⅳ」区分でも処遇改善加算は受けられます。ただし分配額は「ロ」区分と比較して少なくなります。今後「ロ」区分取得を目指す方針があるかを面接時に確認しておくと良いでしょう。
Q
令和8年度から居宅ケアマネの処遇改善がスタートしましたが、実際いくら増えましたか?事業所の取得区分・加算率・分配方針によって異なります。基本ベースアップ(月額1.0万円相当)を受けられている事業所がある一方、特例要件をクリアして月額1.9万円の賃上げを実現している事業所もあります。自分の事業所の状況を管理者に確認するのが最も確実です。
📎 参考資料(厚生労働省公式)
・令和6年度介護報酬改定について
https://www.mhlw.go.jp/content/001666256.pdf
https://www.mhlw.go.jp/content/001666256.pdf
・介護職員処遇改善加算関連
https://www.mhlw.go.jp/content/001674610.pdf
https://www.mhlw.go.jp/content/001674610.pdf
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。何か一つでも参考になれば嬉しいです。一緒に頑張りましょう🌸